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まちと空き家の学校 講義・実習3 開催レポート

2022年2月5日、「まちと空き家の学校」、第3回講義・実習を、コロナ禍の状況もふまえ、オンラインと会場のハイブリッド開催しました。

午前中は、1月22日に活用中の空き家をお借りして行った「お試し利用」のふりかえり、その体験をふまえ、グループでの空き家活用の提案、受講生一人ひとりが今後日野市で空き家を活用して行いたいことの企画を練りました。午後は、空き家の活用者さんをゲストにお迎えし、グループ、個人の提案発表を行いました。

■第3回講義

はじめに(株)エンパブリック広石拓司講師より、これまでのふりかえり、ポイントの整理の講義を行いました。

まず、講座・実習を通じて考えてきた3つの視点が再度提示されました。第2回実習では、「活動者の視点」でイベントを企画、運営しました。その際、「オーナーの視点」に立って、空き家の特性を活かせたか?「地域の視点」で、公共施設ではなく、その地域で活動する意味を考えたか?などがふりかえりの視点として提示されました。

続いて「経験学習」のサイクルが紹介されました。お試し実習(経験)のあと、それをふりかえり(内省的検討)、うまくいかなかったことも含めて、次の企画を考えるサイクルにつなげていくことが重要です。

また「場づくり」とは、人の動き・気持ちを想像し、環境を整えること。場は「こと」が生まれるために必要であることを再度確認しました。 

「お試し利用」で場づくりを実践してみると、当日ふらっと来た人に誰が対応するかを決めておかないと、誰も相手にしてくれないから帰ってしまう、という事態が起きうることが受講生の皆さん、実感としてつかめたと思います。「場をつくる」というのは幅広く、人との関係性、どのような雰囲気をつくればよいのか、把握し、準備することであると、こうした実践もふまえて、ふりかえりました。

さらに「場づくり」で大事な役割に「ファシリテーター」があります。様々な価値観の参加者をケアし、安心感のある場を、「守り立てる」役割。参加者が立ちやすいように守ってあげるのが、ファシリテーターであることが紹介されました。

こうしたポイントをふまえ、グループ、個人の空き家活用企画を立案するワークを行いました。

■グループ提案

午後は、午前中から昼休みも使って話し合ったグループでの空き家シェア活用提案の発表を行いました。ゲストに、現在の空き家活用者さんらをお迎えし、今後の具体的なシェア活用も視野に入れ、講評をいただきました。受講生からは、以下の7提案がありました!

DIY体験アパート
(@南平アパート)

第1回実習で見学した「南平のアパート」を舞台に、受講生や地域の人にDIYを体験してもらう「DIY体験アパート」の提案がありました。
・現地案内所つきで空き家の活用促進
・受講生、地域を巻き込みながら事業展開
・1年限定。
・DIY完成後はオーナーさんが改めて貸し出し開始
・オーナーさんには空き家がきれいになり、DIY後の活用で収益に結び付くなどのメリット、
・地域全体としては防犯性アップ。アパート全体をアート的に、小さな美術館のような使い方も考える
など、独創的な提案内容でした。

シェアハウス
(@武藤さんち)

お試し利用で活用させていただいた「武藤さんち」には、「シェアハウス」の提案がありました。
・運営者と入居者が定期的にやりとりしながら、入居者の方もイベントに参加してもらう。
・場所がなくて活動できない人を減らし、地域が活発な場所になる。オーナーさんにも賃料が入る。
・DIY詳しい人、定期的に参加してくれる人、SNSで発信してくれる人などを募集!
など、空き家をフル活用していこうという意欲的内容です。


老若男女・ペット・国籍問わず楽しく防災を学んで有事に備えよう
(@武藤さんち)

武藤さんちで、「防災拠点」をつくるという提案が、オンライン参加チームからありました。
・交流をメインとした防災拠点づくり。防災だけを打ち出すと人の心にフックしずらいので、例えば異国の料理や文化を通じた交流イベントなど、楽しく防災を入れていく。
・目的は、知人から友人へ:コミュニティ形成をして、単なる知人から友人へと関係性を深め、有事に備えること。また言葉の不自由な外国人にも災害時「あそこに向かえばよい」と思える場所づくり。
・防災拠点となることで、日野市の価値のある場所となることはオーナーさんにとってもメリット。
・地域にも防災ステーションが地域にある安心感が出る
など、地域密着型の提案内容でした。

地域に開かれたお店づくり
(@武藤さんち)

武藤さんちでお試し利用したグループからは、お弁当の販売、ギャラリーカフェ、プチキッザニアなどを行う「地域に開かれたお店づくり」の提案です。
・お弁当の販売は、起業を考えるメンバーの事業として展開。そのほかに、アートを身近に感じてもらう展示スペースの整備、夜は子ども食堂的な利用などを行う。
・目指すは、地域の居場所づくり、コミュニティのハブ。
・おしゃれな改修を行いオーナーさんに還元。
・現活用者さんや、現在展開中事業の利用者(子供たち)も一緒に、お店づくりに参加してもらう。
・防災拠点、またトイレも使ってもらってよい、など柔軟な対応をめざす。
・ビジネスと地域貢献のバランスを考えながら活動を持続する
など、幅広く武藤さんちを活用する意欲的提案内容でした。

生活力を養う料理教室
(@武藤さんち)

お試し利用で武藤さんちを活用したもう1グループからは、「生活力を養う料理教室」という提案がありました。
・献立を決め、予算内で買い物をして料理をつくるというプロセスを通じて、子ども(と周囲の大人)に基本的な生活力を身に着けてもらおうという企画内容です。
・子供が生き生きとして活動する場を提供、空き家も子供がいることで生き生きする。
・地域で子育てしている団体さんに、年間行事のひとつとして活用してもらう。
・続けるための工夫として、料理は簡単なもの、頻度は少なめ、人数も少なめに。無理のない運営とする。
・調理をするためにキッチンの利用についてオーナーさんと話し合う必要がある。
といった実現性あふれる内容でした。

自分の出会い・再発見
(@アムール ”短発”シェア)

ふれあいサロン「アムール」でお試し利用を行ったグループからは、今までアムールでやったことがない事業として「アートセラピーを通じた地域の交流」というシェア利用提案がありました。
・新しいことを計画し、新規の集客をはかり、地域の方の交流を深める。
・お試し利用の経験から、アムールという場所にあった内容としてアートセラピーを、まずは短発で。
・オーナーさんや地域にとっては、交流の場ができ、自分の住んでいるところの安心感が得られる。
・継続性のあることをやっていくなら、もちつき、豆まきなど年中行事を取り入れると、わかりやすく交流できるというアイディアもある。
・地域でネットワークを持っている人(高齢者、子どもなど)、人とのつながりを求めている人、現活用者であるアムールスタッフの協力を得て事業を推進
といった、今すぐにも取り組めそうな提案でした。

子育て支援(@アムール)

アムールでお試し利用を行ったもう1グループからは、オンラインで提案発表がありました。テーマは「子育て支援」。
・子育て中の悩み、気持ちを共有する、しやすくなるイベント。
・ベビーマッサージなど子供向けイベントを企画しながら、子育て世代を支援。
・オーナーさん、地域にとっては、そうした場所として認知され、やがては参加者からやりたいことが出てくることで、連携の輪を広げる。
・持続のための工夫として、イベントが楽しい、主催者自身が楽しみ続けることで参加のハードルを下げる。悩みをその場で伝えるのはハードルが高いので無記名で書いてもらうなど工夫する。
・協力者には男性も募っていく
など、お試し利用のふりかえりを活かした提案でした。

■ゲストからのコメント

こうしたシェア活用の提案に対して、現在空き家を活用している活用者さんから、コメントをいただきました。

武藤さんち(北川さん、柳内さん)

 この秋から不登校の子の支援活動を行っています。小さい関りができてくると、様々なレイヤーでつながりが広がっていく。その拠点ということを意識しています。世の中のこと、周りのことに(私たちの側も)決めつけがあったが、地域の空き家を活用することで、お互いの思い込みも小さくなっていった気がします。オーナーさん、ご近所さんとの関係を大事にしながら空き家の活動を進めることが大事と実感しています。
 今、広がり方、広げ方を考えているところで、提案をいただき、こうやってつながっていけると実感でき、嬉しかった。防災など違う活動に広がっていくなど、気づきも大きかった。これから、できることを一緒に活動できればと思います。

浅川リバーハウス(壷井さん)

 

 どのグループも、地域のことを考えてプランの提案があったのがすごくよかったです。家のメンテナンス、防災など、オーナーさんや地域の方も興味のある内容だったと思います。私たちも地域とのつながりをつくることに時間をかけてきました。
 空き家活用するときは、活動の継続、維持が課題かと思いますが、このチームの皆さんならうまくやっていけるのではないかと思いました。

アムール(今城さん)

 私たちアムールの活動も4年目になりました。多世代の方に来ていただきたいというのが当初の目的でしたので、これから、子育て世代はじめ、多くの世代の方に来ていただけるイベントをやっていきたいと思っています。
 私たちが使っていない時間帯で、ぜひシェア活動をしていきたいと思います。

イエノコモノ(高畑さん)

 私は商売(古物商)で空き家を活用しているのですが、地域を意識するきっかけは、「家の外」で古道具の手入れなどをしているときのことでした。
家の外で作業をしていると、近所の方が声をかけてくださったり、そこから雑談が始まり、顔見知りになる。今の場所を私が活用したことで、(地域の雰囲気が)明るくなってよかった、と言っていただいたこともあります。やがてお店の中も興味を持ってくださることもあります。
 空き家活用の活動は、室内で行うことも多いと思いますが、建物の外に誰かしらが出ることが、とても大事だと考えています。

えんこらしょ(古池さん)

 空き家があるからどう活用するか、だけではなく、自分たちが何がしたくて空き家を探すのか、というところから、改めて考えてみてください!
 また活動もいつまでも持ち出しでは続かない。私たちは、会がいろいろなことをするのに必要な資金だけは、みんなで稼ごうと決めてやってきました。
 やりたいことをやるには、資金も必要。そのバランスも考えていただけたらと思いました。

キョテン107(清水さん)

 皆さんが地域のことを考えて下さっていて、このメンバーならうまくいくと感じました。
 活動は、継続が大事なので、そのために何をするかを考えていただければと思います。

■この半年以内に行いたいこと、はじめたいこと

最後に、受講生の皆さんに「この半年以内に行いたいこと、はじめたいこと」をお聞きしました!

〇活動を続ける、主催することを宣言された方
・月イチでワークショップ開催
・小さなイベントでもよいので主催
〇具体的なアイディアの具体化を宣言された方
・畑で採れた野菜を使ったワークショップ
・地域に開かれたギャラリーカフェ
・既に手掛けている子育て支援イベントの発展
・防災ステーションづくりに着手
・DIYスキルの習得
・DIY体験学習会の開催
〇仲間とのつながり発展を宣言された方
・出会った仲間と活動継続
・今回のつながりを絶やさない、継続して関係を育てる
・お手伝いならできます!
〇お試し利用させていただいた場所での活動継続を宣言された方
・武藤さんちでの活動
・アムールでの活動

「まちと空き家の学校」第1期の活動は、のべ6回、3回ずつの講座・実習を経て終了となりました。ここでの学びを活かし、また、学校で得られた仲間と連携しながら色々な形で活動へとつながっていくことが期待されます。このつながりを活かしていくため、活動実践者や学校卒業生が参加する、空き家活用のための情報交流の場も検討されています。